富士山に登るのに必要な準備と装備

2020年1月16日

基礎知識

t f B! P L


先日、まったく登山しない人に山の話をしていると「自分も行きたい!」と言い出しました。

私自身はパーティ組んで大人数で行く登山はあまり好きではないので、「低山なら綿以外の服を避けて、防寒対策しっかりして、靴もちゃんとスポーツできるものなら大丈夫だと思うから行っておいで」と話したのですが(適当)、彼は「富士山くらいなら軽く登れるよね」とのたまうのでそれはちょっとストップしました。

今まで登山もしたことない人に向けて、富士登山の基礎情報をここにまとめておきます。





富士山の登山時期


まず、富士山には「開山期間」というものがあり、7月初旬〜9月上旬までです(登山道により異なる)。それ以外の時期は原則として登ることはできません。山小屋は閉まっていたり積雪期は大変危険な山になり、事故につながるので絶対にやめておいたほうが良いです。

開山期間であっても事故がしょっちゅう起こる山なので、「みんな登ってるから大丈夫」な気分で行くと痛い目に遭います。私も登山をする前は「GWあたりで登れる」と勘違いしていたのですが、その頃はまだ雪と氷に覆われて登ることができないと後から知りました。

オフィシャルサイトに詳細があるので、行くかたは最大限の準備をして臨みましょう。

富士登山オフィシャルサイト

弾丸登山はオススメしない


弾丸登山とはその名の通り、登り・下りの間に宿泊は挟まずに一気に行うことです。ご来光登山をする人に結構この割合が多いのですが、徹夜で登ることになるので事故の危険があるのはもちろん、単純に相当ツライです。

一般的にオススメなスケジュールとしては

・朝から登り始める
・15時くらいまでには8合目付近の山小屋に宿泊
・翌日未明に出発
・頂上へ

くらいがゆとりが持てて良いと思います。山小屋は飛び込みでも泊まれる場合がありますが、混雑時は断られることがあるので事前に予約しましょう。


登山ルート


富士山の標高は3,776mありますが、0mから登るわけではありません。メインの登山口は4つあり、5合目からスタートするのですが、それぞれ標高や利便性が違うので、自分の体力や行きやすさなどで選ぶことになります。

出典:富士登山オフィシャルサイト


吉田ルート(標高2,305m、頂上までの標高差1,471m)


圧倒的に一番人気のルートです。人気の理由はアクセスのしやすさと山小屋の多さ(18箇所)、それと登山道が比較的初心者に優しいといったところでしょうか。

私も過去数回富士山に登っていますが、すべてこのルートで登っています。ちょっと疲れた、と思ったくらいでちょうど山小屋が出てくるので、休憩しながらゆっくり登ることができます。

距離と時間は登り7.5kmの6時間、下り7.6kmの3時間20分です。この時間は休憩時間を含まないので、実際はもっとかかると思っていたほうが良いです。

ただこのルート、激混みです。オンシーズンの週末はディズニーランドかと思うくらい人が居ます。平日のほうが圧倒的にオススメです。


富士宮ルート(標高2,400m、頂上までの標高差1,376m)


このルートも人気があります。登り下りがそれぞれ5kmで他のルートに比べて最短です。その分勾配が急。けして楽なわけではないのでご注意を。皇太子(当時)が登られたルートということで別名プリンスルートとも言います。

また登り下りが同じ道なので、登山者が集中するとここも大混雑して渋滞します。

須走ルート(標高2,000m、頂上までの標高差1,776m)


ちょっと長めの登山ルート。登り7.8km、下り6.2kmです。途中から吉田ルートに合流するので、吉田ルートが混んでいればここも混雑します。

御殿場ルート(標高1,440m、頂上までの標高差2,336m)


距離、標高差ともに最長のルートです。登り11km、下り8.5kmあり、さらに山小屋が5箇所しかないので健脚向きルート。

その分混雑は少ないようです。

高山病に気をつけよう


どのルートを登るにしろ、気をつけなければならないのが高山病。2,400m以上の高地に入ると頭痛や吐き気などが現れる症状です。

この高度付近に来たら、30分〜1時間ほどはあまり動かず高度順応をすることをオススメします。

一度高山病になると、基本的には下山しない限りは治りません。もし高山病になってしまったら、無理せず下山しましょう。山は逃げません。

必要な装備


以前富士登山をしたとき、スポーツ用でもないスニーカーに100均で売っているようなカッパ、ジーンズにブランドTシャツで登っている大学生くらいの集団を見ましたが、天候が崩れ、案の定途中で断念して下山していました。

地元の低山ならいざ知らず、富士山はそこそこ本格的な装備が必要です。レンタルもできたりするので、決して軽装で登らないようにしましょう。



衣類


上記に挙げたとおり、Tシャツ・ジーンズなど綿素材は避けましょう。これは濡れたときに乾かず汗冷えを招くためです。さらに、標高が高ければ高いほど気温が下がります。夏場でも頂上付近は氷点下に近くなり、さらに風も強いので体感温度は真冬並み。ダウンやフリースがあると安心です。

雨具も必需品。富士山は数ある山の中でもとくに天候の変わりやすい山だと思います(個人の感想です)。独立峰のため強風が吹き付け、雨が降ると横殴り、というか足元から雨が降ります。ポンチョタイプだとずぶ濡れになるので、セパレートタイプの雨具を用意する必要があります。

晴れているときは晴れているときで、日差し(紫外線)が非常に強いので帽子やサングラスもあったほうが良いです。岩場を登っていくことになるので、手袋も必要です。

さらに詳しい内容はこちらから

【基礎知識】登山時の服装ってどうしたらいいの?

登山靴


ちゃんとした登山靴で登ったほうが絶対に良いです。砂利道や岩場を進んでいくので、平地用の靴だと頼りなく感じてしまいます。怪我防止にも大変重要です。

ザック


ザックは登山用じゃないとダメ、とは言いませんが登山用のほうが当然使いやすく楽です。必要な荷物が結構あるので重くなるので、初心者の方は特に「腰で背負えるザック
」があると快適に登山できます。ザックを雨から守るレインカバーも、無いと中身がびしょ濡れになってしまうので揃えましょう。

【基礎知識】正しいザックの選び方

ストック


これも有ったほうが断然楽。富士山では各山小屋で焼印を押して貰える「金剛杖」が売られていますが、正直使いにくく邪魔になりがちです(過去、捨てられた金剛杖を何度か見ました)。

ストックを使うと足腰だけの運動から全身運動に変換されるので、疲労度がまったく違います。高いものでなくても構わないので、持っていくことを是非オススメします。

トレッキングポールのダークホース Karrimor カリマー「カーボントレッキングポール」

ヘッドライト


未明から登山することになるのでこれも必須です。また、山小屋に宿泊する際も消灯が早いので明かりが必要です。100均で売っているものは電池の持ちが悪い可能性があるので、山道具専門店やホームセンターで購入するようにしましょう。

ブラックダイヤモンド「コズモ225」は軽さ・照度・価格のバランス感がすごい

水と食料


山小屋が散在する富士山では水・食料は不要と思われるかもしれませんが、はっきり言って高い。平地の+400円〜くらいします。また下山道には小屋がない場合もあるので、最低2Lは水筒などに入れて持っておきたいところです。

ただの水分補給じゃダメ!登山での熱中症対策と頭痛の関係

食料も主食だけではなく、行動食が必要です。登山をしているとカロリーが足りなくなり「シャリバテ」というもう一歩も動けない状況に陥ることがあるので、こまめにカロリーが取れるチョコやシリアルバー、ナッツなどを持っていきましょう。

オススメの行動食!何を持って行ったらいいかわからない人に人気商品をご紹介


なお購入には現金が必要です。一部QR決済に対応し始めましたが、まだアテにはできないので多めに持っておくと安心です。トイレもチップ制のところがほとんど(大体1回100円)なので、小銭も忘れずに。

ここで出るゴミは必ず持ち帰りましょう。ゴミ箱はなく、トイレに流したりもできません。絶対に放置しないようにしましょう。

その他


気温が低くなるとスマホの電源が突然落ちたり、バッテリーの持ちが悪くなります。そのためモバイルバッテリーは必須です。開山期間中は各携帯電話会社の努力によりほとんどの場所で電波はあるので、遭難やはぐれたりした場合に備えておきましょう。

登山用モバイルバッテリー選手権! オススメ総合No.1は? 独断と偏見ランキング


山小屋に宿泊する場合、シーズン中は1枚の布団に2人で寝る、ということは当たり前です。いびきなど気になる人はアイマスクや耳栓があれば快眠できます。




実際に登ってみた感想


これまで4回富士登山をしましたが、うち2回は超大雨で悪天候による撤退、1回は同行者が高山病のため撤退、と登頂できたのは1回だけでした。

登頂できたときの達成感はかなりのものがありましたが、それまではかなりしんどい。起伏がなくほとんど同じ景色、ずっと単調なので苦行を積んでいる気分になります。

『山と食欲と私』100話の回想で、まだ登山をしたことがない頃の主人公が富士山に登っていて、その時のガイドさんの言葉がすべてを表しています。

富士山はいろんな意味で日本一。日本一高いのに日本一「山を知らない初心者が登る山」でもあるんです。空気が薄いだけでもしんどいのに岩と砂礫ばかりで歩きにくく縦走路もなく景色も単調、過酷で退屈な山なのに…皆さんのように山歩きに慣れない登山初心者がわざわざ行列を作って登る…。

と、ガイドさん。おそらく登山初心者は皆同じ感想でしょう。しかし、こう続けます。

でも…悪くない。こんな苦しい富士登山を経験したら、きっとこの先日本のどの山を歩いても楽しいと感じますよ。今日をきっかけに日本の美しい山々を是非知ってほしいね。

私も、その通りだと思います。山を始めたかなり最初期に富士山に登り、その後「ツライだけ」の登山はなかったように感じます。どの山に登っても楽しく、美しい。

また、富士山を見る目も変わりました。それまでは「ただ眺める」だけだった山が、一度登っただけで身近に感じられ、また偉大さも骨身に染みて感じるようになりました。よく富士山は「登るより眺めるに限る」なんてことを言われますが、登ってから眺めるとより一層美しくなります。

山に登る楽しさは人それぞれ。こうやって一途に登るのが好きな人もいれば、もっとバリエーションに富んだ山のほうがいいと言う人もいます。どちらも間違っておらず、正しいと思います。

これから富士山に登ろうと思っている方は、くれぐれも事前準備を怠らず後々「良い思い出」にしてもらえたら幸いです。

SEARCH

Twitter ※お問い合わせはこちらから

ARCHIVE

QooQ