コース定数(ルート定数)の話

2021年4月23日

基礎知識

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コースタイムが片道2時間いかないくらいの山であれば、それが自分の実力に見合っているかどうかはわかりやすいと思いますが、それ以上の山でテント泊したり縦走したりする場合は、「問題なく歩けるか」の指標がちょっとわかりにくい。


一応、ガイドブックなどに★マークである程度の「しんどさ」が表示されていたりしますが、これもけっこう抽象的ですよね。


そうした数字を科学的・客観的に表した「コース定数」(ルート定数とも言います)について、説明していきます。



客観的な数字が欲しい


ガイドブックなどに記載されている★は、すべて一つの定義で決められているわけではなく、それぞれが独自の定義を以て決められています。


そのため同じ山でも、あるガイドブックが★3の難易度だったとしても、ほかのガイドブックは★2になっていたり、★4になっていたりとマチマチ。


例えば登山地図としてメジャーな「山と高原地図」のコースタイム算定基準は、


  • 40~50代(または60代)の登山経験者
  • 2~5人のパーティー
  • 夏山の晴天時


の登山者を想定してコースタイムが作られているので、ソロや20代前半のスポーツ万能な若者とは異なり、かなりゆったりとした印象です。


なおこの「コースタイム」は、「休憩時間除く歩行時間」と同じ意味です。


他にも登山アプリのYAMAPは「登山経験のある40代女性のペース」で、普通のペースの人を基準にしたというよりは、かなり余裕を持って歩く人を基準にしていることがわかります。


さらに、情報が増えてくればくるほどコースタイムの精度も上がってくるので、紙媒体でのコースタイム基準は発行年度によって変わることもあるそう。


登山計画を立てるときは、このコースタイムが計画の軸にあるのは間違いないのですが、一体自分のペースはどのくらいの難易度に該当するのか、判断するのはとても難しいと思います。


そこで登場するのが「コース定数」で、一度ある程度の距離・時間がかかる山に登って数字さえ把握しておけば、そのあとの登山計画を立てるのに参考になること請け合いです。


ちなみに、今回この記事を書くにあたり、YAMAPとヤマレコの両方で、同じコースで登山計画を立ててみたのですが、塔ノ岳の大倉尾根ピストンで


YAMAP → コースタイム7時間28分

ヤマレコ → コースタイム6時間40分


と結構な差がありました。これも定義が違うからなんでしょうが、メジャーなアプリ2つのタイムがこれだけ違うとちょっと戸惑いそうです。


個人的な感想はYAMAPがインスタなどのSNS寄りな作りをしているのに対して、ヤマレコはガチめの登山記録アプリという感じなので、ヤマレコ使っている人はみんな山登るの早い!という意味不明な先入観があります。


コース定数の出し方


下記の計算式で出すことができます。


【1.8×行動時間(h)】+【0.3×移動距離(km)】+【10×登りの累積標高差(km)】+【0.6×下りの累積標高差(km)】


これでコース定数がでて、行動時間は下記の式でざっくり出すことができます。


参考コースタイム(h)=登りの累積標高差(m)÷400 + 下り累積標高差(m)÷800 + 移動距離(km)÷4

※この式は、かなり余裕を持ったコースタイムが出ます。例えばYAMAPで参考コースタイムを足した結果が7時間半だったとしたら、8時間くらいになります。


筆者はこの辺の数値を全部Googleスプレッドシートで管理していて、計算式を入れているので行動時間・距離・累計標高差(登り・下り)を入れるだけで定数が出るようにしています。正直言って面倒くさい。


今現在、コースタイムを自動で計算してくれて、なおかつ普及度が高いアプリは「ヤマレコ」。


塔ノ岳大倉尾根ピストンの登山計画


ヤマレコの登山計画


PC版でしか見ることができなかったのですが(スマホアプリでも見られるのか、不明でした)、こんな感じで表示してくれます。そしてYAMAPは登山計画自体がPC版ではできず、スマホアプリでしかできない。両方、改善希望です。


上図のコース定数が32となっていますが、この数値は


10前後 体力的にやさしく初心者向き

20前後 一般的な登山者向き

30前後 日帰り登山の場合、健脚者向き

40以上 日帰りでは困難。1泊以上の計画が必要


という指標。つまり塔ノ岳大倉尾根ピストンは、日帰り登山の場合、健脚者向きになるよ、ということです。


この指標を出したら、今度は実際に自分が歩いてみた記録をここに当てはめてみると、さらに指標の精度が上がっていきます。


筆者が同じルートの塔ノ岳大倉尾根ピストンをしたときのYAMAPの記録が、


コースタイム 4時間43分

距離 12.6km

累計標高差(登り) 1325m

累計標高差(下り) 1319m


でした。これを計算すると、コース定数が26になり、参考コース定数よりも楽に登れていることになります。


あくまで参考コースタイムは参考値であって、誰にでも当てはまるものではないので、こうやって自分独自のコース定数を算出し、登山計画に役立てられれば良いかなと思います。


消費カロリーや水の量も計算できる


コースタイムが出せれば、消費カロリーや必要な水の量も計算できます。コース定数に体重+ザックの重量をかければ出てきます。


消費カロリー = コース定数 × (体重 + ザックの重量)


筆者のコース定数から出した消費カロリーは、2000kcalでした。逆算すれば体重+ザックの重量がわかってしまう。。


ちなみにYAMAPアプリ上では、消費カロリーが3038kcalになっているのですが、これはまた別の計算式で「メッツ指数」を元に計算されているようなので、あまり参考になりません。運動のキツさを定義した数値×時間で出していて、登りと下りの消費カロリーを区別していないので、行動時間が長ければ長いほど、大きいカロリーが出てしまいます。


YAMAPの登山後の記録。カロリー数が大きすぎる



より詳細な消費カロリーを知りたい人は、コース定数から出したほうが正確かもしれません。


必要な水の量は、消費カロリーに0.8をかけます。筆者の例だと1600ml。ただしこれは参考値なので、汗っかきな筆者は調理用の水も含めて、これだと足りません。あくまで最小必要の水量だと考えましょう。


まとめ


コース定数を毎回登山計画時と登山後両方出しておくと、自分の実力値を客観的にみることができ、レベルアップにオススメです。体調や季節、荷物の重量などによっても変わってくるとは思いますので、今後の登山計画を立てるのに非常に役立ってくれます。


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